お天道様に恥じない生き方を

宮司は、日々の暮らしの中で、何よりも大切にしていることがあります。それは「お天道様に恥ずかしくないか」という問いかけです。誰かに見られているから、誰かに褒められたいから、というのではなく、天に恥じることがなかったかを、心の中で静かに問う。それこそが、古来より日本人が大切にしてきた「生き方の軸」なのではないかと感じています。
神道において、目に見える神ばかりが尊いのではありません。山河に宿る神、風に吹かれる神、そして何より「日ノ本」の中心として輝くお天道様こそが、日本人の心の中で「見えざる規範」として生きてまいりました。誰も見ていなくとも、空の上にはお天道様が見ておられる。その畏れと敬いが、私たちの倫理を形づくってきたのです。
「天知る、地知る、己知る」という古の戒めがあります。どんなに取り繕っても、天は知っている。地は知っている。そして、何より自分の心が知っている。人は誰しも、過ちを犯すことがあります。しかし大切なのは、その過ちに気づいたときに、己の心に正直であれるかどうかです。
他人と比べ、他人の評価に一喜一憂する世の中にあって、宮司は「比べない強さ」を大事にしたいと思います。誰より優れているかではなく、昨日の自分より一歩でも誠実であったか。偽らず、飾らず、自分という命を丁寧に生きていけたか。それが「シンプルに生きる」ということの本質ではないでしょうか。
虚飾を去り、素直な心で、今日という一日を生きる。その積み重ねこそが、「お天道様に恥ずかしくない人生」へとつながる道であり、それはまた「神道のこころ」に最も近い生き方でもあります。
何か大きなことを成す必要はありません。誰かの目に留まるような立派な行いでなくともよい。ただ、自分自身に誠実であること。自分を偽らず、自分を見限らず、今日一日を清らかな心で過ごすこと。その小さな積み重ねが、尊いのです。
どうか皆様、「今日も一日、お天道様に恥ずかしくないように生きられただろうか」と、空を見上げて問いかけてみてください。その一念が、人生をまっすぐな道へと導いてくれると、宮司は信じております。