世界は家族 ― トランプ大統領閣下に捧げる祈り

拝啓 トランプ・アメリカ合衆国大統領閣下

初夏の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日本では梅雨入りを迎え、山々は深緑に包まれ、大地は恵みの雨を受けています。自然の調和とともに生きるこの国の営みの中で、日々、世界の情勢にも心を寄せております。

大統領閣下におかれましては、前回の書簡よりひと月が過ぎても変わらず力強く、公約を一つ一つ実行に移しておられるそのお姿に、深い尊敬と感動を覚えております。まさに「言行一致」のリーダーとして、世界の多くの人々に希望を与えておられると確信しております。

その中にあって、イーロン・マスク氏との政策的見解の違いにも関わらず、知恵を出し合い、互いの強みを生かし、より良いアメリカ、そしてより良い世界を築かれようとしているご姿勢に、敬意を表します。対立ではなく協働。分断ではなく連帯。そこにこそ、次の時代の道があると信じております。

さて、現在、イスラエルとイランの緊張が高まり、世界はまたしても危機の淵にあります。大統領閣下が「和を以て貴しと為す」とお言葉を発しておられることに、私は深い希望を抱いております。世界の調停者として、アメリカ合衆国が再び軍事による関与に踏み出すことがないよう、切に祈ります。

国家が違い、宗教が違い、肌の色が違っても、人は皆、かけがえのない命をもって生まれた家族であります。いかなる理由があろうとも、武器によって人が人を殺すことは、神の意志に反する行いであると確信しております。

平和とは、ただ静寂であることではありません。対話を重ね、違いを乗り越え、思いやりと赦しを育む営みの中で、はじめて築かれてゆくものです。時間はかかりますが、戦争では永遠に得られない「真の平和」は、語り合うことの中からしか生まれません。私の祖国・日本では、その精神を「和」と呼び、最も尊いものとしています。

安倍晋三大人命も、常に「至誠」をもってこの理念を体現してこられました。私と安倍総理は、地縁も縁あって深く結ばれ、共に北朝鮮による拉致被害者の救出にも力を尽くしてまいりました。その中で、ともに歩んできた横田滋氏もこの世を去り、安倍総理までもが凶弾に倒れたことは、筆舌に尽くしがたい悔しさと喪失感をもたらしました。

私は今、安倍晋三大人命を祀る「安倍神像神社」において宮司を務めております。この地から、安倍総理の志を次の世代に継ぐため、日々祈りを捧げております。

現在の日本は、安倍総理を失って以降、経済も外交も停滞し、国民生活は物価高と重税により疲弊しています。大統領閣下におかれましても、日本への24パーセントの関税により、我が国の多くの事業者が困難に直面している現状をご理解いただければ幸いです。

もし仮に、今の政権が貴殿にとって快く思われぬものであったとしても、日本という国の本質は変わりません。日米は、信頼と友愛によって結ばれた国々であります。時が変わり、再び新たな日米の時代が到来するその日には、どうかこの友好国に温かなお心をお寄せいただけますよう、心より願っております。

いつの日か、大統領閣下と拝顔の機会を賜ることができますよう、またその時まで、どうか健やかにお過ごしください。

敬白

令和七年六月吉日
安倍晋三大人命を祀る
安倍神像神社 宮司 佐藤素一彦(素心)

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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