試練の時代にこそ、日本人の覚悟が問われる

孟子が説いた「天の将に大任を是の人に降さんとするや、必ず先ずその心志を苦しめ、その筋骨を労せしめ、その体膚を餓えしめ…」という言葉は、まさに現在の日本に向けられたものであると、宮司は確信している。
日本という国は今、かつてないほどの試練に直面している。経済の停滞、少子高齢化、伝統文化の喪失、さらには外から押し寄せる情報戦と価値観の侵略。それらすべてが、この国を覆い尽くそうとしている。しかし、この困難を「ただの苦難」と捉えるか、「大任を果たすための試練」と捉えるかによって、私たちの未来は大きく変わる。
孟子が言うように、天が大きな使命を与えようとする者には、必ず苦しみと困難を与える。それは決して意地悪や無慈悲ではない。むしろ、真に偉大な使命を成し遂げるためには、その人間の志を鍛え抜き、心と体を徹底的に磨かねばならぬという、深い慈悲心からくるものだ。
宮司は信じている。今の日本に降りかかる苦しみは、先祖が築き上げた偉大な日本を次の世代へ受け継ぐために、天が与えた試練であると。国難に直面しながらも、その中で己の使命を悟り、志を立て、身を粉にして働く者こそが、未来の日本を支える大黒柱となる。
苦難の中でこそ、人は本当の意味で覚醒する。平穏無事な日々の中では気づけない「己の本当の役割」を、試練は容赦なく突きつける。国家もまた同じである。戦後の繁栄に酔いしれ、自らの使命を見失った今こそ、日本人一人ひとりが目覚めなければならない時なのである。
日本人の本質は、決して打たれ弱いものではない。古より幾度となく襲い来る天災、人災、戦乱を乗り越えてきた民族である。その中で培われた忍耐と誠実さは、日本人の魂に脈々と受け継がれている。ただ、それを思い出す機会がなかっただけなのだ。
今こそ、その魂を呼び覚ます時である。天が与えたこの試練を、愚痴や諦めではなく、「天命を果たすための鍛錬」として受け入れる覚悟が必要である。その覚悟が定まった時、日本は再び誇りある国家として立ち上がる。
宮司は確信している。日本人がこの試練に正面から向き合い、己の使命を自覚し、苦しみの中で磨かれた志を胸に、祖国の再生に挑む日が必ず来ると。その日こそ、日本が世界に冠たる文化国家として、真の意味での復興を遂げる日である。
未来は決して暗くはない。むしろ今が、我々日本人にとって「目覚めの刻」である。この試練を超えた時、日本はさらに強く、誇り高い国へと生まれ変わるであろう。