愚直な一歩が未来をつくる

宮司は、人が日々抱くささやかな夢や目標こそ、人生を輝かせる宝だと信じている。大きな功績や名声を追い求めるのではなく、一歩一歩を大切に踏みしめ、愚直に歩み続けること。その積み重ねがやがて確かな未来を形づくると説く。後悔しない今日を生き抜く姿勢は、歴史を受け継いできたこの国の精神とも重なり合う。
宮司は現在84歳。毎朝2時30分に起き、13kmの道のりを欠かさず歩き続けている。この日課は、単なる健康のための運動ではない。心を磨き、己を律し、祈りを込めて歩む修行そのものだ。冷たい夜明け前の風を受けながら、宮司は一歩一歩を祖先への感謝と未来への責任として刻む。その愚直な実践は、言葉以上に周囲の人々の心を揺さぶり、学びを与えている。
下座で生きることを選ぶ謙虚さは、宮司にとって誇るべき美徳だ。華やかさを追わず、陰にあって人を支え、共同体を温かく見守る。春風のような優しさで他者に接し、秋霜のごとき厳しさで自らを律する。これは、日本の武士道や神道の教えにも通じる姿勢であり、和を尊びながらも自らを厳しく鍛える気風は、この国を支えてきた根幹である。
この国の未来を思うとき、表面的な繁栄や一時の利益に流される危うさを見過ごしてはならない。経済の数値や目先の利得だけでは、祖先たちが築き上げた日本の精神は守れない。子どもたちに誇れる日本を残すためには、自分自身の行動を問い直し、愛する国を支える責任を一人ひとりが自覚する必要がある。
愚直な歩み、謙虚な姿勢、そして自省の厳しさ。これらは一見平凡な教えに思えるかもしれないが、日本人の精神文化の中に脈々と受け継がれてきた価値であり、今こそ再び見つめ直すべき原点だ。宮司が示す生き方は、国を愛するとは声高に叫ぶことではなく、自分の足元から誠実に生き抜くことに他ならない。そのような姿勢こそが、祖先たちが守り抜いたこの国を、未来へとつなぐ力となる。
