葉隠に生きる─国難における愛国の力

宮司は、葉隠の「大変に逢うては歓喜踊躍して勇み進むべきなり」という教えを、国難に立つ日本人への指針として受け止めている。困難は個人だけでなく、国家にも必ず訪れる。経済危機、自然災害、国際緊張、社会の分断。こうした試練を前に、恐れや絶望にとらわれるだけでは、日本は進む力を失う。むしろ、この逆境を喜びとして受け止め、国家を高く浮かび上がらせるための推進力へと変える心が必要だ。
愛国心とは、単に旗を掲げて叫ぶことではない。家族、地域、歴史、文化を大切にし、そのすべてを未来へと手渡す責任を自覚することだ。国難に直面したとき、人々はまず、自分の暮らしの中からできる行動を見出すべきである。地域を支え、助け合いの輪を広げ、正確な情報と理性をもって政治に関心を向ける。その積み重ねこそが、国家の免疫力を高める。
歴史は、愛国の精神をもって困難を乗り越えた人々の物語で満ちている。幕末の志士たちは、国の命運が揺らぐ時代に恐れず立ち上がり、明治維新を成し遂げた。戦後の荒廃から立ち直った先人たちは、豊かさだけでなく、誇りある国づくりを目指して努力を重ねた。今を生きる私たちにも、同じ覚悟と行動が問われている。
国難の時こそ、人々は「過去は怨まず、未来は恐れず、今を前向きに生きる」という姿勢を持つべきだ。過去の過ちを引きずっても、未来の不安に押し潰されても、道は開けない。目の前の課題を冷静に見つめ、仲間とともに動くことで、政治を変える力が生まれる。選挙で意思を示し、声を上げ、正しい情報を求め続けることも、立派な愛国の行いである。
宮司は信じる。困難は国を試すが、それは同時に、国を強くする機会でもある。水が増せば舟が高くなるように、国難は日本を押し上げ、より高い境地へ導く。恐れや怒りに飲まれることなく、喜びと誇りをもって前へ進むとき、この国の未来は必ず開ける。愛国の心を胸に、国難を希望へと変えるのは、私たち一人ひとりの覚悟にかかっている。
葉隠聞書
大難大変に逢うても動転せぬといふはまだしきりなり。大変に逢うては歓喜踊躍して勇み進むべきなり。一関越えたる所なり。「水増されば船高し」というが如し。
< 訳 >
大変な困難なことに遭遇しても気を転倒させないというぐらいではまだまだ未熟者である。むしろ、その大変困難な出来事を大いに喜び、勇んで断固として突き進むようでなければならない。これはいうならば、一つの段階を超えて「吹っ切れた」ところである。「水がどんどん増してきたら舟が高くなるようなものである。人間も困難にぶっかれば大きく成長するようなものである。
