礼節の国・日本が果たすべき使命。教養と徳をもって世界を導く

宮司が願うのは、日本が自らの良き伝統を大切にしながら、隣国や世界と手を携えて人としての品格を育てることだ。歴史の長い国は、過去の学びを現在に活かす責務を負っている。日本には古来より「礼」「義」「思いやり」を重んじる文化があり、それは家庭教育や地域のしきたり、学校での学びを通して細やかに伝承されてきた。これらは単なる形式ではなく、人が互いに安心して暮らすための基盤である。宮司は、その基盤を見つめ直し、さらに広く伝えていくことが急務だと考える。
まず大切なのは、教育の力を信じることだ。礼儀作法や道徳は先天的に身につくものではない。日々の生活の中で繰り返し示し、ほめ、正し、共に学ぶことで育っていく。家庭や学校、地域の行事がその場となる。町内会の掃除や祭礼、子どもの見守りや年長者への配慮といった日常の所作こそが、目に見えない倫理観を育てる教室である。宮司は、神社がその学びの場として機能することを願い、子どもから大人まで参加できる生活礼節の実践を推進したいと考える。
次に、謙虚さと誇りの両立が重要だ。自国の良さを誇ることは愛国心の一端であり、それ自体は尊い。しかし誇りが傲慢に変われば対話は途絶える。宮司が説くのは、誇りをもって自らを律し、謙虚に他を敬う姿勢だ。歴史や伝統に根ざした礼節は、自己を律する規範となり、他者への思いやりを深める。これが地域や国家の信頼を醸成し、国際的な信用につながる。だからこそ、礼節教育は内向きの閉鎖的な押し付けではなく、他国の文化や人々を尊重しつつ自文化の価値を示す、開かれた教育でなければならない。
また、文化や倫理の伝播は一方通行では成立しない。歴史を振り返れば、日本は中国や朝鮮半島から学びを受けて今日に至った側面が多々ある。孔子の教えや儒教的な価値観は、日本の倫理や教育に影響を与えてきた。だからこそ、互いの学び合いを尊重する態度が不可欠だ。宮司は、相互交流を通じてそれぞれの長所を認め合い、足りないところを補い合うことで、アジア全体の品格が向上すると信じる。ここで求められるのは、相手を改めさせるという命令ではなく、共に考え、共に実践するための場づくりである。
具体的な取り組みとしては、地域に根差した実践教育が有効だ。例えば礼節の実習、公共空間の美化活動、相互理解を深めるための交流ワークショップなどを制度化する。子どもたちには行儀作法や公共心だけでなく、言葉を交わす技術、困っている人にそっと手を差し伸べる心の育て方を教える。大人には率先して公共マナーを示し、若い世代の模範となる。こうした「見せる教育」が習慣化すれば、振る舞いは自然と社会規範へと昇華する。
さらに、教育は国境を越える公共財である。国や民族で一括りにして相手を責めることは簡単だが、実効ある変化は協働から生まれる。海外の自治体や教育機関との共同プログラムを通じて、礼節や公徳心に関するノウハウを共有することは建設的な第一歩となるだろう。宮司は、日本の良き実践を惜しみなく提供しつつ、相手の文化的背景を尊重する姿勢で交流を続けるべきだと考える。そこから互いに学び合える本当の意味での「文化的なリーダーシップ」が育つ。
愛国心は排他性ではなく、献身の精神で測られる。国を思う心は、自国の美点を守り磨き、次世代へと手渡す責務を自覚することから始まる。宮司が望むのは、子や孫に誇れる国を残すために、一人ひとりが日常の小さな行動を大切にすることだ。ゴミを捨てない、公共の場を整える、年長者に席を譲るといった当たり前の作法が積み重なって社会全体の品格が上がる。これらは大きな資金や特別な制度を要さない。心の持ちようと習慣の積み重ねである。
同時に、理念としての「世界は家族である」という視点を忘れてはならない。国内での礼節と国際的な友好は矛盾しない。むしろ礼節を持って他者に接することが国際平和への貢献となる。罪のない命を尊び、人を拉致したり、暴力に訴えたりする行為を否定する倫理観を共有することは、どの民族にも通じる普遍的な価値だ。宮司は、地域における小さな実践から世界へと広がる倫理観の連鎖を信じている。
最後に求められるのは行動の一貫性である。言葉だけの説教や上からの押し付けではなく、日々の実践がなければ説得力は生まれない。宮司が呼びかけるのは、個々ができることで社会を良くしていくことだ。教育や礼節を他者に教える際には、批判よりも励ましを、排除よりも包摂を選ぶべきだと強く願う。そうした態度が、真の意味での「精神的な指導力」を日本から世界へ示す道になる。
宮司の願いはシンプルである。誇り高く、謙虚で、思いやり深い国をつくること。教育と実践を通じて次世代にその心を継承し、隣国や世界と手を取り合いながら平和で美しい未来を築くことである。日々の小さな行いがやがて国の品格を形作る。宮司はそのために、地域から国へ、そして世界へと広がる実践の輪をつくる努力を続ける所存だ。
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