この国土は、誰のものか。外国人土地取得規制の今

宮司は、長野の山あいに小さな社を構えて日々を送りながら、ふとした瞬間に足元の土を思う。この土は、宮司が踏みしめるはるか以前から、幾代もの祖先が耕し、守り、祈ってきた土である。土地とは単なる財産ではない。祭りの記憶であり、祖先の息吹であり、神々の宿る器である。その土が今、静かに、しかし着実に、見知らぬ者の手へと渡りつつある。
令和8年の通常国会において、外国人および外国法人による土地取得を規制・監視する法整備が本格的に進められている。令和4年に施行された重要土地等調査法に続き、今春からは指定区域内における外国法人の土地取得に際し、役員・主要株主の国籍まで届け出を義務付ける省令改正が施行される予定だ。加えて自民・維新の連立政権合意書には、規制をさらに強化する新法の策定が明記されている。
宮司はこの流れを、遅きに失したとはいえ、確かな前進と受け止めている。北海道では広大な森林地帯や水源地の周辺が外国資本の手に渡り、対馬では宿泊施設や港湾近隣の土地が次々に買い取られてきた。調査によれば、重要土地等調査法の指定区域内における外国法人の取得では、中国系の関与が最も多く確認されているという。これらは偶然ではなく、戦略的な布石である。宮司はそう見ている。
しかし現行法には限界がある。重要土地等調査法は「調査・勧告」はできるが、「禁止」はできない。所有権は国際的な財産権の枠組みに守られており、全面的な取得禁止は困難だとされる。宮司はその「困難」という言葉の前に、この国がどれほど多くのものを失ってきたかを問いたい。国際協調は大切だ。しかし自国の土を守れない国家が、何を根拠に主権国家と名乗れるのか。
安倍晋三元総理は折に触れて「国益を守ることが外交の本義だ」と語っていた。土地の問題は外交でも安保でもあり、そして何より魂の問題だと宮司は感じている。規制の議論が進むことは喜ばしい。ただ、法律が整備されれば終わりではない。国民一人ひとりが、自分たちの国土に対してどれほどの愛着と責任感を持っているか。それが問われている。祖先から預かったこの土を、次の世代へ誇りをもって渡す。それが今を生きる日本人の使命である。
