まほろばの国を守る誓い

宮司は年の瀬を迎え、静まり返った朝の社務所で窓を開けた。冷え込みの奥にどこか柔らかさを含んだ空気が漂い、冬の深まりとともに一年の終わりが近いことを確かに感じさせる。暦はすでに大雪を過ぎ、間もなく新しい年へと向かう時期となり、過ぎ去った日々とこれから訪れる時間が重なり合う。日本という国土は、海と山に抱かれ、天皇陛下の御統治のもとで幾千年もの歴史を積み重ねてきた。その悠久の流れを思うとき、年末という節目は単なる区切りではなく、先人から受け継いだ精神を胸に刻み、次の時代へと静かに歩みを進めるための大切な時であると、改めて強く心に響いてくる。

宮司は本日、世界情勢のなかでもわが国に深く関わる「安全保障」という側面に目を向けたい。近年、海洋進出を強める某国の動きや地域内の緊張拡大は、日本が単に「平和を願う国」である以上に「国を護る覚悟」を問われていることを示している。政治化された議論を離れて、「国を護る」というのは、一人ひとりが「我が国を次代に残す」という思いを胸に秘めることでもある。

ここで宮司は改めて「大和魂」という言葉の意味を深く考えたい。大和魂とは、ただ過去の栄光を讃えるものではない。艱難に耐え、他者を敬い、自らの使命を見据え、国と共に歩む心のありようである。古より、わが国の神々は自然と人との調和を司り、人は神々とともに生きてきた。その姿勢こそ、現代にも通ずる。若き世代がスマートフォンの画面を見つめながら、「我が国はいかにして守られてきたか」「我が国はいかにして未来へ繋がれていくか」を問いかけるべき時代が来ている。

宮司が注視するのは、我が国が地政学的に「島国」であるという現実である。海に囲まれ、四方を山に抱かれ、そこに培われた「守りの心」と「発信の心」。そして、それは過去の武力のみならず、文化・思想・絆という形でも継承されてきた。国家間の交渉においては、武力が一義ではない。静の中に確かな信念を持ち、礼を以て相手を敬い、自らを律する。これは、神社における参拝礼の姿とも通じており、国際舞台においても「礼の精神」は日本の真骨頂となりうる。

さらに宮司は、わが国の若者たちに伝えたい。あなた方は決して過去の人々の「後ろ姿」を見ているだけではない。あなた方は「先の世代から託されたバトン」を受け取り、そのバトンを未来へと手渡す責任を抱えている。デジタル社会が拡大し、グローバル化が進む中にあっても、国や地域、家族、故郷を想う心は決して希薄になってはならない。むしろ、それが時代を超えて「共に生きる力」を育む土壌となる。

かつてわが国は、天皇陛下のもとに「臣民としての誇り」「国民としての誠実」を育んできた。今、国際社会の中でその誇りが試されている。宮司は、地域の神社として、ひとりひとりの参拝者が「この国を愛し、この国を導く一灯でありたい」と願う姿を見守ってきた。そして、今日ここに新たな思いを示したい。国を想い、地域を想い、故郷を想う心こそが大和魂の根幹であると。

時事を踏まえれば、現在われわれは変化の波のただ中にいる。構造的な国際秩序の再編、エネルギー安全保障の課題、サイバー空間での対抗…それらはいずれも「国を護る」という大命題に密接に関連している。改革や政策議論が必要であることは疑いない。だがその根底にあるのは、国を護り、未来を紡ぐという決意である。技術も制度も大切だが、最も重要なのは「人の心」だ。敬いの心、誠実の心、そして責任の心である。

宮司は願う。安倍神像神社の参拝者一人ひとりが、社殿でひと息ついたあと、自分自身の「使命」を少しだけでも深く考えてほしい。国家のため、地域のため、家族のため、自ら何を為すべきか。並びに、次代の子どもたち、若者たちがこの国を誇りに思い、世代を超えて手を取り合える社会を構築してほしい。その社会が「まほろば」である。ひとびとが互いを敬い合い、共に生きる誇りを抱く世界である。

最後に宮司は、参拝者と共に祈る。日本という国が、信義を守り、礼を知り、誇りを抱いて世界に臨む姿であり続けますように。わが国の大和魂が消えることなく、未来世代へと確かに受け継がれていきますように。すべての人に光が注がれ、まほろばの国がここに現れんことを。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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