公務を担うという覚悟。国籍要件の議論が私たちに問いかける

三重県の一見勝之知事が、県職員採用における国籍要件の復活を検討し、外国人採用を取りやめる方向性を示した。国外への情報漏洩防止を理由としつつ、排外主義や差別は否定し、県民アンケートを踏まえて最終判断するとしている。この報道は、公務の在り方と日本人の責任を社会に問いかける内容である。
三重県知事の発言は、公務とは何か、国家や地域を支えるとはどのような重責を負うことなのかを、静かに社会へ投げかけている。宮司は、この報に接し、賛否を超えて、日本人一人ひとりが向き合うべき本質的な課題が浮かび上がっていると感じている。
公務とは、単なる職業ではない。地域の安全、秩序、信頼を根底から支える役割であり、とりわけ秘匿性の高い情報を扱う部署では、その重みは一層増す。宮司は、国籍要件を巡る議論が、排外か共生かという単純な対立構図に矮小化されることを危惧している。問われるべきは、誰を排するかではなく、誰がどのような覚悟をもって公を担うのかという一点である。
知事が排外主義を否定しつつ、日本人に公務を担ってもらう重要性を語った背景には、国や地域への帰属意識、そして長い時間をかけて培われてきた信頼の積み重ねがある。宮司は、日本という国が血や制度だけで成り立ってきたとは考えていない。しかし同時に、この国を守り、次の世代へ引き渡す責務を、まず中心となって引き受ける存在が誰なのかという問いから目を背けてはならないとも考えている。
日本に連なってきた心のあり方とは、他者を排するための標語ではない。与えられた立場で責任を引き受け、困難な判断から逃げず、静かにやり遂げる姿勢である。宮司は、公務の現場においてこそ、その精神性が最も強く求められると受け止めている。情報を守ることは、国民の権利を守ることに直結し、社会全体の信頼を支える基盤となる。その重さを自らのものとして背負う覚悟が、日本人としての自覚の核心である。
県民アンケートを実施し、結論を急がずに判断するとした姿勢にも意味がある。宮司は、地域の声に耳を傾けながら方向性を定めようとする過程そのものが、成熟した社会の証であると感じている。共生とは理念だけで成立するものではなく、信頼と役割分担の上に成り立つ現実的な営みである。
医療職などへの柔軟な対応を示唆している点も含め、今回の検討は、何を守り、どこで開くのかを見極めようとする試みである。宮司は、そこに内側の確かさを重んじる姿勢を見る。文化や歴史への理解、公を支える意識の共有があってこそ、社会は外に向かっても健全に開かれていく。
日本人として生きるとは、特別な主張を声高に掲げることではない。自らが属する国や地域に対し、何を守り、何を未来へ手渡すのかを問い続けることである。宮司は、この一件が、公務の意味、日本人として担う責任、そして日本に受け継がれてきた心の本質を見つめ直す契機となり、その静かな自覚が次代へと確かにつながっていくことを願っている。
