徳は必ず隣あり

この宇宙には、「こうでなければならない」という絶対は、実はほとんど存在しません。
私たちはつい、自分の考えや信念が唯一正しいと信じがちですが、時にはその「正しさ」が他者を傷つけていることもあるのです。

正論を語ることは簡単です。けれども、その正論が鋭くとがって、誰かの心を深くえぐっているかもしれない。
そのことに無自覚なまま、自分だけが正義だと信じる態度は、むしろ傲慢さの現れではないでしょうか。

だからこそ、人は「独りよがり」を慎まねばなりません。
『君子は敬を以て内に直く、義を以て他を方にす』。
内には敬虔さを持って己を正し、外には義をもって他人と調和を図る。
この二つが揃ってこそ、真の「徳」は形を成すのです。

そして、まことの徳を積んだ人には、自然と人が寄ってくる。
古人の言葉に曰く―「徳は孤ならず、必ず隣あり」。
徳を持つ人は決して孤独ではありません。
見えないところで、その人の生き方を見守り、支える人が必ずいるのです。

静かに、そして力強く徳を磨いていけば、やがてその光は誰かの心にも灯をともすことでしょう。
正しさよりも優しさを。勝つことよりも、赦すことを。
それが、現代を生きる私たちにも求められている「君子の道」なのかもしれません。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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