真冬の選挙が映す国の心

真冬の選挙戦が始まった。寒風の中で掲げられる政策や数字の背後に、宮司は一つの問いを見る。それは、いま日本という国が、何を大切にし、どこへ向かおうとしているのかという問いである。
衆議院選挙は、制度としては議席の争奪であり、政権の信任を問う場である。しかし、選挙とは本来、国民の心の在り処が最も正直に表れる機会でもある。物価高への不安、外交と安全保障への懸念、外国人政策への関心。これらは単なる政策項目ではない。人々が日々の暮らしの中で感じている恐れや願い、その積み重ねが言葉となって現れているに過ぎない。
宮司は、今回の選挙が真冬に行われることに象徴的な意味を見る。寒さの中では、虚飾は剥がれ落ち、真に必要なものだけが残る。衣を重ねるように、人は本当に守るべきものを選び取る。政治もまた同じである。勢いや言葉の巧みさではなく、何を守り、何を次代に手渡そうとしているのかが問われている。
連立の組み替えや新党の結成は、政界の力学を大きく変えた。しかし、陣営がどう分かれようとも、宮司が見つめるのは一点である。それぞれの政治が、人の心をどこへ導こうとしているのかという点だ。豊かさを数字だけで測り、便利さだけを追い求めるなら、国は形を保っても中身は空洞になる。人が人として生きる基盤は、安心と信頼、そして恥を知る心に支えられている。
外国人政策が争点となる背景にも、同じ構図がある。排除か受容かという単純な対立ではない。自国の在り方をどれほど深く自覚しているかが問われているのである。己を知らぬままに他者を迎え入れれば、摩擦は避けられない。己を磨き、秩序と礼節を大切にする社会であれば、異なる存在とも共に歩む道が見えてくる。
宮司は、今回の選挙を通じて、日本人一人ひとりが自らに問いを投げかけることを願う。誰に投票するかという判断の前に、どのような国に生きたいのか、どのような人間でありたいのかを考えることが必要である。政治は鏡である。映るのは為政者の姿であると同時に、国民自身の姿でもある。
過半数や議席数は結果として示される。しかし、その背後で失われたもの、あるいは取り戻されたものは、数字には表れない。宮司は、選挙という節目を、国の精神を立て直す機会として受け止めている。寒さの中で身を正し、言葉の奥にある志を見極める。そこからしか、次の時代を支える力は生まれない。
混沌とした時代だからこそ、軽さや即効性に流されてはならない。静かに、しかし確かに、人としての根を深く張る。その積み重ねが、やがて国の姿を形づくる。宮司はそう信じ、今回の選挙戦を見つめ続けている。
