保守とは何か

宮司は「保守」という言葉を考えるとき、まず「革新」との対比からその意味を捉えることが重要であると考える。革新とは現状を破壊し、新たな仕組みや思想を導入することを意味するが、保守はその対極に位置し、既に築き上げられた伝統や文化、社会秩序を尊び、守り伝える姿勢である。

多くの人々が誤解しているように、保守とは単に古いものに固執する態度ではない。むしろ、長い年月を経て磨かれてきた知恵や風習を、時代の変化に流されることなく維持し続けることである。その根底にあるのは「尊敬の心」であり、先人が命を懸けて築いてきたものへの深い感謝と畏敬の念である。

伝統、文化、習慣、制度、社会組織、考え方。これらは単なる形式ではない。それら一つひとつが、日本人の精神の土台を成し、国のかたちを形づくっている。宮司は、これらを守り伝えることが、未来の日本人に対する責任であると強く信じている。なぜなら、伝統を失えば民族の魂が空洞となり、国は単なる地理的空間に成り下がるからである。

「保守」とは、時代の風潮に迎合して伝統を軽んじることではない。一方で、現実の変化を無視して頑なに古い形に固執することでもない。保守とは、移ろう時代の中にあっても、普遍的な価値を見極め、それを次代に受け渡す使命感のことである。そのためには、常に伝統を学び、その本質を理解する努力が不可欠である。宮司は、表面的な儀式や形式だけに囚われることなく、そこに込められた意味や精神性を深く考察し続けている。

現代の日本は、物質的には豊かになったが、精神的には拠り所を失いつつある。グローバリズムの波が押し寄せ、国境や民族の概念すら曖昧にされる時代にあって、日本人が日本人として誇りを持って生きていくためには、保守の精神こそが必要である。宮司は、今こそ一人ひとりが「日本とは何か」「日本人とは何か」を真剣に問い直すべき時であると訴える。

保守とは単なる防御ではない。それは未来への責任であり、次代を担う子孫に対する深い愛情である。守るべきものを守ることで、はじめて日本は日本であり続けることができる。宮司は、その信念を胸に、これからも変わらぬ姿勢で日本の伝統と誇りを守り続けていく覚悟である。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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