国を支える御楯の心

大君の 為には命 惜しからむ
御楯の道ぞ たゆみあらすな
詠み人:佐藤素心
宮司が詠んだ「大君の為には命惜しからむ 御楯の道ぞたゆみあらすな」という歌は、日本人の心に深く刻むべき覚悟を示している。天皇の大御心を仰ぎ、その御為に命すら惜しまぬという決意は、単なる戦いの勇ましさを越えて、国と民を守るという大義への誓いである。
御楯の道とは、国の盾として立ち続ける覚悟であり、それは軍人に限らず、農を営む者、技を磨く者、子を育てる母、学びを授ける師、すべての国民が歩むべき道である。怠惰や利己心もまた国を蝕む敵であり、それに打ち克つ努力を重ねることこそが、国を支える御楯の務めであると宮司は考える。
命を最も尊いものとすることに異論はないが、この歌が教えるのは、命すら超える価値があるという真理である。先人たちはその覚悟を胸に、この国を幾度も危機から立ち上がらせてきた。敗戦や荒廃の時代を経ても再び蘇ったのは、大義のために命を惜しまぬ者たちがいたからである。その犠牲の上に今日の平和がある以上、我々はただ享受するのではなく、大志を抱いてその恩に報いねばならない。
志とは自己の利益を追い求めることではなく、社会や国のために力を尽くすことである。学業に励む者は知を磨いて国に寄与し、働く者は誠実に職務を果たし、日常の礼節を守ることもまた御楯の道である。小さな行いが積み重なり、大きな国の力となる。国を支えるのは一握りの英雄だけではなく、おほみたからたる国民すべての実践である。
宮司は、この歌を若き世代にこそ伝えたいと願う。大君への忠誠とは、国と民の繁栄を願う祈りであり、その祈りに生きる者は決して小さな存在ではない。命を惜しまぬ覚悟を胸に、御楯の道をたゆまず歩むとき、国は滅びることなく、未来は輝く。志を持ち、国を思い、日々の務めを果たすことでこそ、日本は大君と共に栄え続けるのである。