国家の尊厳を守るという覚悟

中国の薛剣駐大阪総領事が、高市早苗首相に向けて放った言葉は、決して看過できるものではない。「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」という表現は、外交官としての品位を完全に欠いているだけでなく、日本国民に対する明確な侮辱である。国家の代表に対する暴力的な言辞は、個人攻撃にとどまらず、国への冒涜へと直結する。

こうした事態を受け、自民党が政府に求めたのは、最も強い外交的抗議の形のひとつである人物追放の措置だと報じられている。宮司は恥ずかしながら、この措置の正式な名称を知らず調べたところ、「ペルソナ・ノン・グラータ」と呼ぶのだと理解した。他国の外交官を「これ以上、日本に滞在させられない」という断固たる意思として突きつける、極めて重い対応である。国の威厳を守る最後の警告ともいえる。

今回の暴言問題は、日本という国家の尊厳が問われる瞬間となった。高市首相が示した台湾有事への姿勢は、日本の安全保障を考えるうえで当然の議論であり、それに対して暴力を仄めかす言葉を投げつける国は、まず理性と礼節を学ぶべきである。宮司は、この一件を知って強く思った。自国を尊重する心を持たない国民を、他国が尊重するはずがないという当たり前の道理を。

国家の尊厳とは、政府だけが守るものではない。国民一人ひとりの誇りと自覚が積み重なることで、外からも揺るがない「国の品格」が形づくられていく。外交的な挑発に対して感情で応じるのではなく、筋と理性をもって対応すること。それが成熟した国家の姿であり、日本が長い歴史の中で磨き続けてきた美徳である。

政府が丁寧に高市首相の答弁の趣旨を説明し続けている姿勢は、世界が見習うべき冷静さと礼節に満ちている。怒りで返すのではなく、誠と理をもって正すこと。これは武力に勝る日本の強みであり、古来より育まれてきた精神性の表れである。

宮司は、この出来事から日本人が学ぶべきことは多いと感じている。国家を愛するとは、相手を憎むことではない。自国の価値を知り、守るべきものを理解し、未来の世代に誇れる国を残す覚悟のことである。侮辱を受けたときこそ、国民が国家観を問われる瞬間であり、自国への誇りを育てる絶好の機会となる。

今回の問題は単なる外交摩擦ではなく、日本人が自らの国をどう見つめ直すかという問いを投げかけている。国家の尊厳を守る責任は、政府だけでなく国民一人ひとりが担っている。日々の暮らしの中で、自国を貶めることなく、誇りを持ち続けること。それこそが日本を未来へつなぐ確かな力となる。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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