世界を照らす一燈としての生き方

宮司は、戦争のない平和で穏やかな地球を心から願い、世界が「まほろば」となる未来を祈る。まほろばとは、美しく豊かで平和な世界を意味する。その願いの根底には、和を尊び、他者を思いやる日本人の精神がある。

宮司は、自分を律し、他者には柔らかな心を向けることが、人間として最も尊い道だと説く。人には春風のように優しく、自分には秋霜のように厳しく生きることは、単なる言葉ではなく、日々の行動で実践すべき修行である。他人の過ちを責めるのではなく、まず自分を省み、鍛え、正す。その積み重ねが、やがて社会全体を和やかに変えていく。

佐藤一齋の「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂ふる勿れ 只只 一燈を頼め」という言葉を、宮司は深く胸に刻んでいる。世界が暗闇に包まれているように見える時でも、誰かが掲げる一つの小さな灯りが、人々を導く力になる。自分がその灯りとなる決意を持ち、恐れずに歩みを進めることで、闇は少しずつ退いていく。

この考えは、現代社会に生きる私たちに大きな示唆を与える。世界が不安定で、分断や対立が深まる中、一人ひとりの小さな善意や努力が、未来を変える火種になる。たとえ無力だと感じても、自分の周りの人に優しく接し、約束を守り、弱き者を助ける行為が、世界を少しずつ温めていく。

宮司は、平和とは遠い理想ではなく、日常の中で築かれるものだと説く。身近な人との関係においても、和を以て貴しと為す姿勢を持ち続けることで、その波紋は広がっていく。家庭、地域、そして国や世界へと、和を大切にする心が伝わっていけば、やがて世界はまほろばに近づくだろう。

この教えから学ぶべきは、外の世界を変える前に、まず自分を変えることの大切さである。厳しさを自分に向け、他者には温かなまなざしを向ける。その姿勢こそが、道徳心を養い、真の平和を築くための確かな一歩となる。世界を照らす一燈は、私たち一人ひとりの心の中に灯すことができる。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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