桜吹雪の吉野山にて

桜吹雪舞う吉野山――
まるで夢を見ているかのような美しさに、心が奪われる。

桜は、散り際こそが見事で潔い。
まさに、今日の一言にふさわしい。

「男は度胸、女は愛嬌、桜は散り際」

古来より日本では、こう語られてきた。

「男は度胸」とは、すなわち行動力、決断力、胆識を持っているか否か。
それが、男としての真価を問われるところだった。

そして「女は愛嬌」とは、やさしい笑顔と、思いやりの心。
これを持っているかどうかが、女の魅力とされていた。

さらに、山桜は「散り際こそが美しい」と言われる。
谷から吹き上げる風に乗り、花びらは空へと舞い上がり、ひらひらと舞い散る。
その潔さに、日本人は涙を流し、心打たれてきたのだ。

もちろん、男にだって優しさは大切だ。
だが、本来、男は強くなければならない。
守るべき女性や家族を守れぬようでは、その資格はない。
そういう男は、三行半(みくだりはん)を突きつけられても仕方がない。

女は、本来、ただ一人の愛する人にすべてを捧げ、尽くすもの。
その操(みさお)は、尊く、美しい。

吉野山の桜は、全国から人々の祈りを込めて植えられたものだ。
山桜は、上から見下ろすものではない。
下から見上げ、手を合わせるものだ。

散りゆく花吹雪に、自らの人生を重ね、
舞い落ちた花びらはやがて土に還り、また新たな命を育む。

花は、散り際こそが、もっとも美しい。
人間も、きっとそうなのだろう。
人もまた、散り際こそ、美しくありたいものです。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。

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