神棚を祀りたいと思い立ち、神具店や通販のページを開いてみると、その種類の多さに戸惑う人は多い。扉が三つのもの、一つのもの、箱の形をしたもの、壁に掛けるもの。値段も数千円から数十万円まで幅がある。どれを選べば神様に失礼がないのか。宮司のもとにも、そうした相談がよく寄せられる。
けれども、そう迷うこと自体が、神様を大切にお迎えしたいという心の表れなのだと思う。
先にお伝えしておきます。高価なものほど良いというわけではありません。
大切なのは、住まいに合い、無理なく清らかに保てる神棚を選ぶことだ。立派な神棚を据えても、手入れが追いつかなければ、かえって心の重荷になってしまう。ここでは、宮司が家庭の神棚を選ぶときに大切だと感じている点を、ひとつずつ一緒に見てゆきたい。
まず知っておきたい神棚の種類
家庭の神棚は、大きく分けて四つの形がある。一つ目は三社造である。扉が三つ横に並び、中央に神宮大麻、左右に氏神様と崇敬する神社のお札をそれぞれ納める。最も正統な形とされ、棚板を設けられる家であれば、まず候補になるだろう。
二つ目は一社造である。扉が一つで、お札を重ねて納める。幅をとらないため、三社造を置くほどの場所がない家にも向いている。三つ目は箱宮と呼ばれる、箱型の宮形だ。扉のついた箱の中にお札を納めるもので、家具の上にも置きやすい。
四つ目が、近年増えている壁掛け型や、洋室に合わせた簡素な神棚である。お札立てと呼ばれる、お札を立てて祀るだけの小さなものもある。住まいのかたちの変化とともに生まれた形だが、神様をお迎えしたいという心は、どの形であっても少しも変わらない。
あわせて読みたい:宮司が教える神棚の祀り方。置く場所・向き・高さの正解
住まい別のおすすめ
一戸建てで、居間に棚板を取り付けられる壁があるなら、三社造を勧めたい。三つのお札をそれぞれの御座所にお祀りできるのは、やはりありがたいものだ。棚板と雲板が一緒になった品を選べば、取り付けもそう難しくない。
マンションで壁に棚を設けられる場合は、一社造か小ぶりの三社造がよい。上の階にも住まいがあるときは、神棚の上の天井に「雲」の字を貼れば心配はいらない。このことは以前の記事でも触れた。
賃貸住宅で壁に穴を開けられない方も、どうか諦めないでください。
箱宮かお札立てを選び、背の高い家具の上に白い紙を敷いてお祀りすればよい。画鋲程度で掛けられる軽い壁掛け型もある。形は簡素でも、毎朝手を合わせることのできる神棚は、立派な神棚に少しも劣るものではないと、宮司は思っている。
材質は檜が基本
神棚の材には、古くから檜が用いられてきた。伊勢の神宮をはじめ、多くの神社の社殿も檜で建てられている。木目が美しく、香りが清々しく、年月を経ても狂いが少ない。木曽檜のような上質な材を用いたものは値が張るが、そのぶん長く美しさを保ってくれる。
杉を用いた神棚も多く、檜に比べて手頃な値段で求められる。塗装を施さない白木のままのものが一般的で、これは清浄を尊ぶ神道の心によく適っている。艶のある塗装や華やかな装飾のものもあるが、宮司としては、できれば簡素な白木のものを選んでほしいと思う。神様の御座所は、飾らないほどに清らかさが際立つからである。
大きさはお札に合わせて選ぶ
神棚選びで最も多いお困りごとは、お札が入らなかったというものだ。宮司もそうした話を聞くたびに、前もってお伝えできていればと思う。神社でお受けするお札の大きさは、神社によってまちまちである。求める前に、祀るつもりのお札の高さと幅を測っておくと安心だ。
三社造の場合は中央の扉の内寸を、一社造の場合は重ねるお札の厚みも含めて確かめておきたい。通販で求めるなら、商品説明に内寸が記されているかを見ておくと間違いがない。棚板を取り付ける場合は、棚の奥行きと神棚の奥行き、さらに前にお供えを並べる余裕があるかも、あわせて考えておくとよいだろう。
価格の目安
一社造や箱宮、お札立ては、数千円から一万円ほどで求められるものが多い。三社造は、一万円台から数万円が中心である。木曽檜を用いた大きなものや、職人が手がけた屋根違いの三社造になると、十万円を超えるものもある。
はじめて神棚を祀る家であれば、一万円から三万円ほどの檜の三社造、あるいは一社造で十分だと宮司は考えている。
無理に背伸びをする必要はありません。
大切なのは値段ではなく、そこに毎朝向き合う心のほうだ。神具一式がそろったセットを選べば、榊立てや水玉などを別に揃える手間も省ける。
神棚を求めたら
新しい神棚を据えたら、できれば氏神様の神社に相談し、お祓いを受けるとよい。神職に家へ来てもらうことが難しければ、お札を神社でお受けする際に、神棚を新たにしたことを一言伝えるだけでもよい。神様はきっと、その心を受け取ってくださる。
古い神棚を新しくする場合、古い神棚はお札と同じく神社に納め、お焚き上げをしていただくとよい。長いあいだ神様の御座所となってくれたものである。ごみとして手放すのではなく、ありがとうの気持ちを添えて送り出したい。
選ぶ心が、祀る心になる
神棚を選ぶ時間は、自分の家に神様をどうお迎えするかを考える時間でもある。どの部屋に、どの向きで、どのお札をお祀りしようか。あれこれと思いを巡らせるうちに、神様を迎える心は、自然と整ってゆく。
完璧な神棚を探す必要はない。住まいに合い、家族が手を合わせやすい一つが見つかれば、それで十分だ。正月を新しい神棚で迎えたいのであれば、十二月の半ばまでに整えておくと、落ち着いて新年を迎えられるだろう。
皆さまの家にお迎えした神棚が、ご家族を守るあたたかな灯となりますように。宮司も、心からお祈りしております。
安倍神像神社へのご参拝・お問い合わせ
長野県阿南町の安倍神像神社では、参拝の方をお迎えしている。神棚のお祓いやお札のことで分からないことがあれば、気軽に尋ねてほしい。
安倍神像神社 公式サイトへ