日本の若者は自国の未来を信じていない。令和の精神的敗戦を問う

ある調査の数字が、宮司の胸に深く刺さった。自国の将来が「良くなる」と答えた日本の若者は、わずか15パーセントであったという。調査した6カ国の中で、最も低い数字である。夢を持っていると答えた若者もまた、6カ国で最低水準だった。宮司はこの数字を見て、戦争に負けたのではなく、魂が負けたのだと思った。

銃弾も爆弾も飛んでいない。しかし、日本の若者の心の中では、すでに敗戦が起きている。自分の国の未来を信じられない。夢を持てない。そのような状態を、宮司は「精神的敗戦」と呼ぶ。昭和20年の敗戦は、国土と制度を破壊した。しかし令和の今、失われつつあるのは、目に見えぬ魂の柱である。建物が倒れれば誰もが気づく。しかし魂が倒れるとき、人はなかなか気づかない。

なぜこうなったのか。宮司は、戦後教育の問題を直視しなければならないと言う。自国の歴史を誇ることを恥とし、愛国心を危険思想のように扱い、英雄を持つことを禁じてきた教育の中で育てば、若者が自分の国に誇りを持てなくなるのは当然の帰結である。志を持てと言いながら、志の手本となる先人を教えない。夢を持てと言いながら、この国に生まれたことの誇りを教えない。それは、種を蒔かずに実りを求めるようなものである。

吉田松陰は、処刑される前夜、弟子たちへの手紙を書き続けた。西郷隆盛は、流刑の地でなお国を思い、書を読み、己を磨いた。坂本龍馬は、身分も家柄も関係なく、ただ日本の未来のために奔走した。彼らが自国の未来を信じていたのは、制度が整っていたからではない。この国に宿る神の息吹を、血肉で感じていたからである。その精神の系譜を、令和の若者に伝えることが、今この国に最も必要なことだと宮司は説く。

宮司は、若者を責めない。若者は悪くない。悪いのは、若者に手本を示せなかった大人たちの世代である。自分たちが誇りを持てない大人になっておきながら、若者に夢を持てと言うのは矛盾である。まず大人が変わらなければならない。まず大人が、この国を愛することを恥じない人間にならなければならない。子どもは大人の背中を見て育つ。親の魂が甦れば、子どもの魂も甦る。

15パーセントという数字を、宮司は受け止める。しかし絶望はしない。日本人の魂は、何度でも甦ってきた。幕末の動乱を乗り越え、明治の近代化を成し遂げ、昭和の焦土から立ち上がった民族である。その血が、令和の若者の中にも流れている。その血を呼び覚ます言葉を、誰かが発しなければならない。宮司は今日もその言葉を探しながら、筆を執る。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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