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矢面に立つ精神。令和の日本人に取り戻したい覚悟

人が大事に臨むとき、必ず問われるものがある。知識でも、肩書きでも、口先の器用さでもない。最後に問われるのは、その人が矢面に立つ覚悟を持っているかどうかである。

矢面に立つとは、人より前に出て、責任を引き受けることである。批判も受ける。誤解も受ける。時には孤独にもなる。それでもなお、逃げずに立つ。そこに、人間の本当の値打ちが現れる。

宮司は思う。今の日本に最も必要なのは、この「矢面に立つ精神」ではないか。

令和の時代は、便利である。情報はすぐに手に入り、失敗を避ける道も、責任を曖昧にする言葉も、いくらでも用意されている。しかし、便利さが増すほど、人は臆病になることがある。誰かが決めてくれるのを待ち、誰かが責任を取ってくれるのを期待し、自分は安全な場所から批評だけをする。そういう生き方が、いつの間にか当たり前になってはいないか。

だが、日本人は本来、そのような民族ではなかった。

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私たちの先人は、国が危ういとき、家族が苦しいとき、村が困ったとき、誰かが必ず前に立った。名もなき父が、母が、若者が、年長者が、黙って責任を背負った。自分だけが助かればよいという考えではなく、自分が立たねばならぬ時があると知っていた。

それが、日本人の強さであった。

矢面に立つことは、決して愉快なことではない。苦しい。怖い。腹を割かれるような思いをすることもある。けれども、不思議なことに、人は本気で事に当たるとき、その苦しみの中に、自分の生きる意味を見いだすことがある。

逃げている間、人は小さくなる。責任を避けている間、心は弱くなる。しかし、一度覚悟を決めて前に立てば、人は変わる。目つきが変わる。言葉が変わる。祈りが深くなる。自分のためだけに生きていた者が、人のため、国のため、未来のために生きる者へと変わっていく。

宮司は、そこに人間の尊さを見る。

令和を生きる若者たちに伝えたい。立派な人間とは、初めから強い人のことではない。怖くても立つ人である。不安があっても逃げない人である。自分にできることを探し、目の前の責任を引き受ける人である。

家庭の中にも、矢面はある。仕事の中にも、矢面はある。地域の中にも、国の中にも、矢面はある。親として子を守ることも、職場で正しいことを言うことも、困っている人の前に立つことも、すべて矢面に立つことである。

大きなことを成し遂げる人だけが、矢面に立つのではない。日々の暮らしの中で、逃げずに責任を果たす人こそ、すでに矢面に立っているのである。

日本を良くするとは、誰か一人の英雄を待つことではない。令和の日本人一人ひとりが、自分の持ち場で矢面に立つことから始まる。父は父として、母は母として、青年は青年として、働く者は働く者として、学ぶ者は学ぶ者として、それぞれの場所で逃げないことである。

矢面に立つ精神には、祈りが必要である。人間は、自分一人の力だけでは立ち続けることができない。だからこそ、神仏に手を合わせ、先人に感謝し、天地に恥じぬ道を歩もうとする。その祈りが、人の背筋を伸ばす。

日本人の覚悟は、傲慢ではない。威張ることでもない。静かに頭を下げ、しかし退くべきでない時には退かない。その慎みと強さが一つになったところに、日本人の本当の精神がある。

今の時代、不安は多い。政治も、経済も、教育も、国際情勢も、決して楽観できるものではない。しかし、不安があるからこそ、人は立たねばならない。苦しい時代だからこそ、逃げない人間が必要なのである。

宮司は、令和の日本人に申し上げたい。

あなたの人生にも、必ず矢面に立つ時が来る。その時、どうか逃げないでほしい。小さくてもよい。震えていてもよい。人に笑われてもよい。ただ、自分の良心に背かず、神々と先人に恥じぬよう、まっすぐに立ってほしい。

矢面に立つ人が増えれば、日本は必ず甦る。

日本を守る力は、遠いところにあるのではない。今を生きる一人ひとりの胸の奥にある。責任を引き受け、祈りを忘れず、逃げずに立つ。その精神こそ、令和の日本人が取り戻すべき、尊い魂の柱なのである。

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この記事を書いた人

佐藤素心(一彦)。宮司。昭和16年山口県生まれ。元大阪府警勤務。1979年(昭和54年)の三菱銀行人質事件では機動隊員として活躍。事件解決に尽力した。1990年(平成2年)の西成の暴動では自身が土下座をして騒ぎを治めた。その他、数多くの事件に関わり活躍した人物。警察を退職後は宮司となり奈良県吉野町の吉水神社(世界遺産)に奉仕。吉野町の発展に寄与。故・安倍晋三元総理をはじめ、多くの政治家との交流を持つ。現在は長野県下伊那郡阿南町に安倍晋三元総理をお祀りした安倍神像神社を建立し、宮司を務めている。

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