日の丸を守る国へ。国旗損壊罪法の成立に思う

日本国旗を公然と傷つけ、汚し、辱める行為を処罰する日本国旗損壊罪法が成立した。宮司は、この法律の成立を心から歓迎したい。むしろ、なぜ今日まで自国の国旗を守る法がなかったのか。そのことこそ、戦後日本が抱えてきた精神の空白を物語っているように思えてならない。
日の丸は、単なる一枚の布ではない。白地に赤く輝くその旗には、悠久の歴史を生き抜いてきた日本民族の祈りがある。祖国を守るために命を捧げた先人の覚悟があり、戦後の廃墟から立ち上がった父祖の汗があり、家族を守り、郷土を耕し、黙々と国を支えてきた無数の国民の営みがある。日の丸は、日本の過去と現在、そして未来を結ぶ魂の象徴である。
これまで我が国には、外国の国旗を侮辱する目的で損壊した場合に処罰する外国国章損壊罪がありながら、日本国旗そのものを守る規定はなかった。他国の国旗は守るが、自国の国旗は守らない。その不自然さを、長く当然のように放置してきたのである。外国を敬うことは大切である。しかし、自らの国を敬う心を失った者に、他国への真の敬意が育つはずはない。自国を愛するからこそ、他国が祖国を愛する心も理解できる。自らの旗に礼を尽くすからこそ、他国の旗にも礼を尽くせる。それが国際社会に生きる者の節度であり、日本人が古来より尊んできた礼の精神である。
一部には、国旗を損壊することも表現の自由だという声がある。しかし、自由とは、何をしても許されるという意味ではない。自由には責任が伴い、権利には節度が伴う。他者が大切にしているものを踏みにじり、多くの国民が心の拠り所としている象徴を公然と辱めることまで、自由の名によって正当化することはできない。それは自由ではなく放縦であり、権利ではなく傲慢である。
政府を批判する自由はある。政治に異論を唱える自由もある。しかし、日本という国そのものを象徴する旗を焼き、破り、踏みつけ、その光景を人々に見せつけることは、政策への批判とはまったく異なる。そこにあるのは言論ではなく侮辱であり、議論ではなく挑発である。国家が守るべき一線を明らかにすることは、思想を取り締まることではない。共同体の秩序と国民の尊厳を守るための最低限の責務である。
宮司は長く警察官として世の中を見つめ、神職として人の心と向き合ってきた。法とは、ただ人を罰するためのものではない。善良な人々が安心して生きるために、守るべきものと越えてはならない一線を示すものである。国旗を公然と損壊する行為に対し、国家が明確に「許されない」と示すことには大きな意味がある。罰すること以上に、踏み越える前に思いとどまらせること。その行いが国民の心と国家の尊厳を傷つけるのだと自覚させること。法の本当の役割は、そこにある。
もっとも、今回の法律が成立したことで、すべてが整ったわけではない。日の丸に大きなバツ印を付けて街頭で振る行為や、損壊した映像を後からインターネット上に拡散する行為など、国民の常識から見れば明らかに侮辱と受け取られるものが、形式上は処罰の対象から外れる可能性も指摘されている。国旗を大切に思う国民感情を守ることが立法の目的であるなら、現実とのずれは今後、厳正に検証されなければならない。不十分な点があれば、速やかに正すべきである。国の象徴を守る法律が、抜け道によって形骸化することがあってはならない。
しかし、法律だけで国旗への敬意が生まれるものでもない。最も大切なのは教育である。なぜ日の丸が日本の国旗なのか。なぜ先人たちはこの旗を仰ぎ、命を懸けて祖国を守ったのか。今日の平和と繁栄が、誰の苦労と犠牲の上に築かれているのか。そうした歴史を子供たちに伝えなければならない。国旗を大切にせよと命じるだけでは、真の敬意は育たない。日の丸の向こうに、祖父母の人生があり、父祖の苦労があり、自分へとつながる命の流れがある。そのことを知ったとき、人は自然と旗の前で襟を正すのである。
戦後の日本では、愛国心を語ることが忌避され、国旗を掲げることさえ色眼鏡で見られる時代が続いた。だが、祖国を愛する心は恥ずべきものではない。国を愛するとは、政府を無条件に称賛することでも、他国を見下すことでもない。国の過ちを正し、良き伝統を守り、子や孫により良い日本を残すために責任を果たすことである。国旗を守ることも、その責任の一つにほかならない。
日の丸を守るとは、布を守ることではない。祖先の御霊を守ることであり、日本の歴史と文化を守ることであり、まだ見ぬ子孫が日本人として胸を張って生きられる未来を守ることである。国家の尊厳は、外国から与えられるものではない。国民一人ひとりが祖国を敬い、守るべきものを守り抜くことによって、初めて築かれる。
日の丸を仰ぐたび、宮司は思う。この旗に恥じぬ日本人でありたい。祖先に恥じぬ生き方を貫きたい。そして、先人から受け継いだこの国を、さらに立派な姿にして次の世代へ手渡したい。
日本国旗損壊罪法の成立は、単なる一つの法律の成立ではない。日本人が国家の誇りと責任を取り戻すための一歩である。日の丸を守る国は、自らの歴史を守る国である。日の丸を敬う国民は、祖先を敬い、故郷を愛し、未来に責任を持つ国民である。
日本よ、誇りを取り戻せ。白地に赤く輝く日の丸のもとで、我々は今一度、日本人としての魂を呼び覚まさなければならない。
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